心霊スポットの地下(3)

671 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 21:51:39.87 id:kja+wGxR0
「Hさん、○○(心霊スポット)って行った事あります?」
「あるよぉ。あるけどもう絶対行きたぁない!」
「やばいんですか?」
「やばいやばい、絶対やばい!あそこ行くん!?」
「行かないですけど、地下がやばいとかって聞いたんですけど」
「だって地下で死んでんやろ!?」
という風なやり取りをした後、あそこはどういう場所か知っているかと聞くと、
更正施設(?)のような所で、どうしようもない不良や、知的障害の人等が収容されてたとかなんとかと、
聞いた話で確信はないが、という風な感じで教えてもらった。これも有名な話らしかった。
私は少しだけ自分の考えと繋がった気がして、坊主頭の彼を思い出した。

仕事中、携帯電話は基本事務室に置いていたのですが、
アルバイトの従業員が「なんかずっと鳴ってますよ」と、私に報告してきました。
私はなんだろうと思い、携帯の着信を確かめに事務室に向かうと、
確かに携帯は、まだ着信のバイブレーションで震えていました。


672 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 21:52:48.17 id:kja+wGxR0
『あ、つながった』
それは先輩Aからの着信で、出てみると、
『なんか(友人)がずっとおかしいねん!!頼む、ちょっと来てくれ、頼む!!』
と、必死に懇願してきました。
その後ろから、叫び声がずうっと聞こえてきていました。
これはただ事ではないと思い、オーナーに電話をかけ許可を取り、
他の従業員に「少し頼みます」と事情を説明した後、友人の家に向かいました。
友人も一人暮らしで、先輩2人と先輩Aの彼女の3人は、よくそこを溜まり場にしていました。
そしてその日も、4人でその部屋に居た様でした。

あまり離れていなかったこともあり、30分弱で友人宅に着きました。
部屋に入ってみると、
「あああああ!!」とひっきりなしに叫んでいる友人と、友人を抱えた先輩B、泣きはらした顔の先輩Aの彼女、
飲ませようと思っているのか、水の入ったコップを握りしめた先輩A、
知らないおばさん(後で聞くと大家さんでした)の5人がそこにいました。


673 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 21:55:21.57 id:kja+wGxR0
私は先輩Aに、「こいつ知らん所でクスリでもやってたんか」と、攻めるような口調で尋ねました。
先輩Aは「そんな事するわけないやろ!!とり憑かれたんちゃうんかこれ!?」と、
半ばパニックになったような感じで、「なんとかなれへんのか!?」と私に言いました。
そう言われてもどうしていいのか分からない私は、とりあえず先輩Bに代わって友人の肩を掴み、
「(友人)、どないしたんや。落ち着け」と声をかけました。
しかし、友人は私の声など聞こえていないようで、叫び声を上げるだけでした。
以前、友人の姉が狐にとり憑かれた、という話を聞いた事がありますが、
それも友人が、心霊現象が苦手な要因になっている事もあるのだろうと、
「大丈夫や、こんなもん気の持ち様や。しっかりしろ」と、耳元で声をかけました。
しかし、友人は叫び声を上げるだけでした。口の端が泡だってきているほどでした。
たまりかねた私は、「黙れ、落ち着け!!」と大声を上げて怒鳴り、髪の毛を掴んで顎をしゃくりあげました。
すると、友人は叫ぶのをやめたかと思うと、「ふぅぅ ううっ!!」と甲高い声を上げたかと思うと、
私の腕に顔をうずめるようにしがみついて来ました。
私は友人に、「どうした、もう大丈夫なんか」と聞くと、友人は顔を埋めたまま首を横に振りました。
「とりあえず水飲もう」と友人から離れようとすると、
叫び声をあげ私の名前を二度叫び、「離れんといてくれえ!!」と泣き声で言いました。
しかたなく私は、その状態で30分くらいの間じっとしていました。


675 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 21:56:26.58 id:kja+wGxR0
ある程度落ち着いた友人が、子供のようにせがむのをなんとか言い聞かせ、
先輩Aの彼女に代わりに様子を見てもらい、先輩A、Bの二人と大家さんと部屋の外へ行き、
大家さんにひとしきりお詫びして、3人で話し合いました。
(大家さんは、近所の苦情があったのと、隣に住んでいたため来たようです)

私は「やっぱり○○行ったせいかな」と、先輩Bにも足を掴まれた件を話し、
部屋にいたジャージの男や、戸棚の顔についても2人に話しました。
すると先輩Bが、「お前が怒らせたからちゃうんか」等と言う事を言い出しました。
「怒らせたって、泊まったから?」
「なんかしたんちゃうんか」
「寝ただけやがな」
「それで怒ってんのちゃうんか」
私は「幽霊を?」と少し笑いながら尋ねると、
先輩は急に「もういやや」と頭を抱え、タバコを吸いだしました。
私は少し呆れながら、先輩Aに「どうする?」と尋ねました。
「お祓いしてもらうしかないんちゃうんか」
「あんなもんアテになるんかいな」
「だってそれしかないやろうが」
「怒ってんねやったら、謝ったらええんちゃうん」
「誰によ」
「○○(心霊スポット)行って、幽霊に」
「おい、また行くんか!?」
「だって家かえって、ジャージとかがまた出てくるかどうか分からんし」
「絶対嫌や 行くんだったら一人で行けや」
「別に来いゆうてへんがな」
というやり取りをして、「また(友人)が叫びだしたら電話して」と先輩Aに頼み、
私は自分の家に車を取りに戻り、廃墟へ向かいました。


694 :本当にあった怖い名無し:2011/04/08(金) 22:50:12.99 id:kja+wGxR0
夜中だった事もあり、自分で運転してみると、
廃墟へ向かう山道は中々際どいカーブなどがあって、一層危険に感じました。

一度道を間違えましたが、なんとか昨日の廃墟に着いた私は、
そこでライト等を何も持ってきていないことに気付きました。
とりあえず外側から廃墟に向かって、「すいませんでしたー」と少し大きめな声で一声かけました。
が、何も反応はありませんでした。
「なんか反応してよ・・・」と独り言をつぶやいた反面、
「俺なにやってんねやろ」と、少し気恥ずかしい感じでもありました。

私は携帯電話の明かりをあてながら廃墟を歩き回り、
「一晩泊まったからって、そんな怒らいでもええやんかー」
「帰れーゆうてくれたら、歩いてでも帰ったのにー」
と、誰もいないのに、独りで言い聞かせるように話しました。
正直、ほとんど明かりもないのに行くのは嫌だったのですが、
「やっぱり地下なんかなあ・・・」と思った私は、地下に向かうことにしました。

地下に向かうと、前には感じなかった人の気配を一気に感じました。
「おおっ、これは・・・おるなあ」と、気丈に振舞うためかわざと口に出し、
「いきなり後ろに立ってるとかはやめてね」と言い、地下の真ん中あたりまで歩きました。
ほとんどなにも見えず真っ暗でしたが、そこで立ち止まり、
「もう来えへんから。ごめんね」と、誰かに言うように言い、少し待ちました。