神降ろし(3)

868 :本当にあった怖い名無し:2009/07/27(月) 01:15:51 id:NTfTxL700
その話を聞いて、今も視えるか聞いてみたら、
C「ほら、あの並木のあたり見てみ?」
と言ってCさんは、向こうに見える並木道を指差した。
俺「講義や試験を終えた学生が、ぞろぞろ帰ってるのが見えるだけですが・・・」
C「じゃ、メガネ外してもう一回。歩いてる人の足元あたりに注目!」
俺「!!!!」
周りの風景や人はぼやけて見えるのに、辛うじて人の形に見える、漆黒のタールのようなものの上半身が、
這うような姿勢のまま静止しているのが、はっきり視える。
C「見えた?クロウリングケイオス(crawling chaosかな?)って感じだよねw」
俺「Cさん。実家の神社で巫女さんとかもされてましたよね?お払いとか出来ないんですか?」
C「無理無理w自分に変なのがまとわり憑かないようにすることで精一杯。
 実家継ぎ損なってなけりゃ出来たかもだけどw」
C「それにしても何したの?普通に心霊スポットとか行ったぐらいじゃ、あんなの拾ってこないよ普通www」
俺「マジ笑い事じゃないですよ。神社で肝試ししただけですよ。俺ら」
C「うーん」
何か含みのある様子で軽く唸ると、急にCさんが俺の手を引いて腕を絡めて、
C「ま、こんなトコで立ち話もなんだし、ちょっと飲み屋にでも行こうか?奢ったげるからさ」
このCさん。あんまり女性っぽく無いサバサバした性格だけど、
見た目は無造作に後ろで束ねた長い黒髪で、和装が似合いそうな美人さん。
なので、こんな話をしてる時なのに、ドキドキしてたのは内緒だ。
C「私とくっついてたらとりあえずは大丈夫。あと、君は結構運がいいね。
 弟(長男の方)が実家の用事ついでに、私のトコに寄る予定あるんだ。
 後2時間くらいで着くはずだから、安心して良いよ」
そう言いながら、グイグイ俺を引っ張っていく。
結局、2人で個室のある飲み屋に入り、先ほどの話の続きをすることに。


869 :本当にあった怖い名無し:2009/07/27(月) 01:17:45 id:NTfTxL700
飲み屋に腰を落ち着けて、事の経緯を説明し、いろいろ聞いた話をまとめると以下。
(聞いた時にわからなかった言葉とかは、後でググッて補足しています)

・Cさんではお払いが出来ないことについて。
普通、神職自体には、霊とかその他諸々を払う力は無い。祀ってる神様の力を借りないことには払えない。
そもそも神職は巫覡に端を発しているので、霊を成仏させたりする坊主とは違う。
神様の力を借りるには、相応の舞台装置が必要。
つまり、神社の外では、依り代とかがなければ大したことは出来ない。

・神社の境内は神域のはず。なんであんなのがいるのか?
坊主の作る結界とは違い、神社は神を降ろすための舞台装置(神を降ろし易くすための場)にすぎない。
神域とは、舞台装置である神社に神が降りることによって、始めて力を発揮する。
神職や管理者がいたり、キチンと定期的に祀られてる神社は、
神域として正しく機能しているため、おかしなものは寄り付かない。
逆にそうでない神社は、何か寄せるための舞台装置だけがある状態。
色々とおかしなものが集まってくるので危険。

ここまで話を聞いて、疑問に思った事を聞いてみた。
俺「なんでEさん(長男)が来たら安心なんです?さっきの話だと、神職自体に払う力はないんでしょ?
 ましてやEさんて、今まだ在学中で、正式な神職になって無いでしょ。
 それとも、Cさんと二人で力をあわせれば何とかなるって、そういう話ですか?」
C「違う違う。確かに神職自体に払う力はないってのは、Eに関しても当てはまるんだけどね。
 ただ、あの子は色々と特別な訳。うちの神様に守られてるんだよね。
 具体的な効果範囲はわからないけど、
 少なくともEの視認できる範囲内には、幽霊とかその他もろもろの、危害を加えるものは近寄れない」
俺「それを聞いて気付いたんですけど、
 もしかして、地元の心霊スポットとかで肝試しした時に、何もおこらなかったのって・・・」
C「そう、いつもEいたでしょww」
俺「でも、なんでEさんだけそんな特別扱いなんです?そもそも、神様が1人だけを守ったりとかあるんです?
 神社って全国各地にあって、しかも有名な神様だと分霊でしたっけ?
 とかされて、同じ神様を祀ってる神社がいっぱいあるのに」
C「んー。ちょっと長くなるけど良い?」