神降ろし(1)

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?218

861 :本当にあった怖い名無し:2009/07/27(月) 01:05:43 id:NTfTxL700
2年くらい前の、個人的には洒落にならなかった話。

大学生になって初めての夏が近づいてきた、金曜日頃のこと。
人生の中で最もモラトリアムを謳歌する大学生といえど障害はある。そう前期試験だ。
これを無事にやり過ごし単位を獲得しないことには、せっかくの夏も存分に楽しめない。
大学で出来たまだ少し距離感のある友人達(AとBとする)と、
翌週から始まるテストに備えて、俺の部屋で試験勉強に励んでいてた時、
A「試験勉強ウゼー。飽きた。ちょっとここらで気分転換しねぇ?」
と言い出した。
B「んじゃ、どうする?ゲームでもする?」
もう一人の友人が応える。
A「時期的にはちょっと早いけど肝試しとか?」
B「いやw女もいなくて、『キャー!B君コワーイ!』とか、キャッキャウフフもないからメリットねーじゃん」
A「俺らまだでつるみはじめてから日が浅いだろ?ここらで友情を深めるイベントをと思ってさ」
ちょっと引き気味で、
B「お前・・・まさかガチ(ホモ的な意味で)じゃねーよな?」
A「んなわけあるかwww気分転換にはいいと思うんだけどな俺は。
 実はこの近くで、それっぽいポイントを見つけたんだ。
 んで、実は昼間のうちに準備もしてきてたりするんだが」
俺「準備済みとか段取り良すぎだろw」

Bは最初嫌がってたが、目的地が噂の心霊スポットとかじゃなくて、
チャリでいける距離にあるただの無人の神社だとわかると、しぶしぶだが了承した。
一方、俺は怪談とかは結構好きで、肝試しにも乗り気だった。
俺は全くの零感なもんで、中学生の頃に、地元で仲の良かった友人達と有名心霊スポットに行ってみても、
何か見たり、何かが起こったりってことは、今まで一度もなかったから、まぁ気楽に考えてたんだな。


862 :本当にあった怖い名無し:2009/07/27(月) 01:06:57 id:NTfTxL700
目的地の神社に到着して、A曰く、
「別に心霊スポットって訳でも無いから、
 みんなでウダウダ言いながら行って帰ってだったら、なんの面白みも無い。
 だから、ちょっとした準備をして、ルールを決めてやろうぜ」とのこと。
肝試しのやり方は、
1、3人でまず神前に入りお参りして、神様に肝試しのお断りをする。(3人とも小心者だったので・・・)
2、神社の裏手で、火が燃え移る恐れの無い場所に風除けを立てて、蝋燭(アロマキャンドルで代用)を3本設置。
3、神社の入り口まで戻る。
4、一人づつ順番に先ほどの蝋燭のところまで行き、行ってきた証拠に蝋燭に火を灯して帰ってくる。
5、全員が終ったら、全員で蝋燭の元に戻り、火を消して蝋燭と風除けを撤去。
6、最後に神前で、「おさわがせしました」と御詫びして帰宅。
というもの。
じゃんけんで、B、A、俺の順番となった。

内心で最もビビってそうに見えたBが一番最初だったので、大丈夫かとか思ってたが、
目に少し恐怖の色が見えたものの、当然のことだが、何も起こらなかった様で普通に戻ってきた。
次に行ったのがAだが、さすが肝試しの発案者だけあって、全く平気な様子で戻ってきた。
そして、最後の俺の番となった。

小さな神社であるため、鳥居をくぐるとすぐに神社の拝殿が見える。
夜の神社というだけで不気味ではあるが、この日は風もあまりなく月明かりも出ていたので、
それほど恐怖感はなかった。
拝殿を通り過ぎ、本殿に沿って裏手に回る。俺達が設置した場所に、二つの炎が灯った蝋燭が見える。
「やっぱり何も起きないか」と、安堵とわずかな失望が入り混じった微妙な心境で、最後の蝋燭に火を灯した。
その後、もと来た道を戻り友人達の元に戻った。


864 :本当にあった怖い名無し:2009/07/27(月) 01:08:45 id:NTfTxL700
3人揃った所で、
「やっぱり何も起きねーかー」
「でもなんやかんやでこの雰囲気はちょっと来ねぇ?」
とか無駄口を叩きながら蝋燭の元に戻って、火の始末をして回収したが、この時もやはり何も起こらなかった。
最後に、何も起きずに無事帰途につけることのお礼と、「おさわがせしました」の御詫びをして拝殿を離れた。

そして、後十数歩で鳥居というところまで戻った時だった。
背筋に氷柱を入れられたような悪寒ともに、肌が一気に粟立つ感覚に襲われ立ちすくむ。
決して背後を振り返らないように隣を見ると、AもBも同じものを感じたらしく立ち尽くしている。
俺「まさか・・・な」
A「おいおい、やっぱ神様怒ってんじゃね?」
軽口を叩いてはいるものの、その顔に余裕はなさそうだった。
A「出口の自転車のところまで後ちょっとだし、土産話が出来ると思って、いっせいので振り向いてみようぜ」
B「バカいうな。こういうのは見ない方がいいって相場が決まってる。
 このまま振り向かずに、チャリ乗って帰るべきだろ」
そんな中その時の俺はというと、今ままで霊体験を一度もしたことがなかったこともあり、
恐怖よりも好奇心が勝っていて、
俺「いやいや、コレこそが肝試しじゃね?これはいっとくべきだろ」

そんなこんなで、ウダウダ言ってる間にも、背後の気配は徐々に濃密になっていく。
Bも俺とAに押され、結局全員で一斉に振り向くことに。
最初にぱっと見た限りでは、月明かりに照らされた神社の境内には何も見えなかったが、
目を凝らしてみると、自分達と拝殿の間あたりに、黒い水溜りのようなものが見える。
「あんなところに水溜りなんてあったけ?」
さっき通ってきた時には、確かにそんなものはなかったはずだ。
気付くと、つい先ほどまで聞こえていた微かな葉音も止んでおり、耳が痛いほどの静寂に包まれている。
とぷんっ
小石を川面に投げ込んだような水音が、微かに聴こえたような気がした。
見ると、先ほどの黒い水溜りのようなものに、波紋が広がっている。