バードウォッチング泥ヒデキ(1)

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∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part68∧∧

『バードウォッチング』
825 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/22(月) 19:40:12.89 id:TEN/rORq0
私の体験した話。

大学生の頃、バードウォッチングに参加するため、早朝の山へ出掛けた。
野鳥に詳しい連れが一人いて、色々と教えてくれるのがありがたかった。
彼は集音マイクを持ち出して、野鳥の声を録音してもいた。
「後で編集して、スカウトの子たちに聞かせるんだ」
そう笑っていた。

そのしばらく後、皆が久しぶりに学食で顔を合わせた時のことだ。
「この間の鳥の声、纏めたのなら俺たちにも聞かせてよ」と話し掛けると、
「ああ、あん時のテープは廃棄しちゃったよ」という答えが返ってきた。
怪訝そうな顔の私たちに、彼は顰め面で説明した。
「テープに録音されていたの、鳥の声だけじゃなかったんだわ」
「あ、悪ぃ。ひょっとして俺らの声も入っちゃってた?」
「いや君ら誰も、悲鳴やら苦鳴やら上げてなかったろ」
「……何が録音されていたんだよ?」
しかしそれ以上の説明はなく、テープの話題はそこで打ち切りになった。 『泥』
826 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/22(月) 19:41:40.82 id:TEN/rORq0
同業者の話。

田舎の山道で、給水管を埋設する仕事をしていた時のこと。
舗装本復旧の準備で、アスファルトをカッターで切断するというのがその日の業務内容だった。
道路をカッターで切る際には水を用いるので、結構な量の泥水が発生する。
それを洗い流そうとカッターから給水ホースを外し、道路に向け直した。
一寸目を離した隙に、道路上の泥塊は白く変色していた。
指で触ってみるとまったく濡れておらず、硬く乾いている。
黒く染まっていたアスファルトも、元の瀝青色に戻っていた。
さっきまで水浸しだった山道が、一瞬で嘘みたいにカラッと乾き上がっていた。
何でそのような現象が生じたのかは、全然わからないという。
「そんなこと疑問に思うよりも、乾ききった泥土を綺麗にするのが大変だった」
というのが彼の感想だった。 『ヒデキ』
827 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/22(月) 19:43:11.24 id:TEN/rORq0
友人達の話。

幼少の頃、彼らは山中にある石切場跡を遊び場にしていたという。
「鬼ごっこや陣取り、氷鬼、他何でもやったけど、缶蹴りだけは出来なかったな。ヒデキがいたから」
誰が名付けたのかはわからないが、その石切場にはヒデキと呼ばれる目に見えない悪戯者がいたらしい。
小石を蹴り飛ばそうとすると、まるで大きな岩を蹴ったような衝撃が返ってきて、蹴った子が逆にひっくり返る……
そんなことが多々あったのだそうだ。
痛む脚を庇いながら再び石に触れると、今度は問題なく蹴り飛ばせたという。
“これはヒデキが石をしっかりと押さえていたから、力負けして転倒したのだ”
ほとんどの子供たちがそのように認識していたという。
「だから缶蹴りが出来なかったんだ。
 空き缶を蹴飛ばしても、ヒデキのせいでまず飛ばないんだもの。
 下手すりゃこっちが力負けして転けるし」
そこは今でも子供たちの遊び場となっているそうだ。
ヒデキがまだいるのかは不明である。


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