アメリカでサマーキャンプ(1)

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ほんのりと怖い話スレ その93

407 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/06(土) 19:08:59.79 id:aCWSi1Ue0
知り合いの話。

アメリカへ家族で出張していた時のことだ。
長期休暇を利用して、職場仲間の家族とサマーキャンプへ出掛けたのだという。
キャンプは楽しく過ごせ、彼の家族も喜んでいたのだが、
最終日の前日、子供たちが口々に「おかしなものを見た」と言い始めた。
「エレファントマンがいた!」
子供たちは興奮したような口調で、そう声高に叫んでいた。
聞いてみると、森の端から大きな黒い人影がテント地を覗いていたという。
人型ではあったが服は着ておらず、黒い皺だらけの肌はとても人間のものとは思えなかったらしい。
更に不気味なことに、そいつの顔からは、まるで象のように長い鼻がずるりと下がっていたというのだ。
そのためアメリカ人の子らは、そいつのことを「エレファントマン(象男)」と仮に呼んだのだが、
彼の子供だけは自信たっぷりに、次のように言い切った。
「アレは忍者怪獣サータンだよ、僕テレビで見たから間違いない。
 アメリカにもいたんだね」
そう言って片時も離さない、ウルトラマン怪獣図鑑を見せて説明してくれた。
「おい、本当にそんな風体の怪物が見えたっていうのか!?」
「いや熊を見間違えたのかもしれないぞ」
何にせよ、かなりの大きさの動物がいたことに違いはない。
大人たちがバタバタと撤収を急ぎ出す横で、
子供たちはニンジャという響きが気に入ったのか、「エレファントニンジャ」を見たと盛り上がっていた。


408 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/06(土) 19:09:49.64 id:aCWSi1Ue0
帰宅してから後、顔見知りの自然保護官と飲んだ際、この話をしてみた。
「やっぱり、何かの野生動物を見間違えたんだろうけど。
 でも結構大きい動物が、家族の周りを彷徨いているっていうのは怖いしね。
 予定を一日切り上げて帰って来ちゃったよ」
そう笑いながら話したのだが、しかしインディアンの血を引く保護管は、真面目な顔をしてこう返してきた。
「うん、恐らく見間違えなんだと思うよ。
 あの辺りでは野生動物による害って報告されていないし。
 でもね、少しでも危ない予感がしたら、即対応するのが当たり前だよ」
更にこう続ける。
「確か、イロコイ族の一氏族だったと思うんだけど、彼らには奇妙な怪物の言い伝えがあるんだ。
 彼らで使うインディアン語の名前もあるんだけど、そこまでは知らない。
 僕が知っているのは、『ロング・ノーズ(長鼻)』っていう呼び方だけだな。
 長い鼻が特徴的な、大きな人型の怪物なんだって」


409 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/06(土) 19:10:46.36 id:aCWSi1Ue0
それを聞いた彼は、
「へぇ、捕まえていたら一躍スクープだったかも」と冗談めかして答えた。
保護管曰く、
「止めといて良かったと思うよ。
 こいつ、伝わるところによると、子供喰らいらしいから」
このロング・ノーズという怪物、人間の子供ばかりを襲って掠うのだそうだ。
足がとても速く、人一人を抱えているのに、どの戦士も追い付けないという。
一度掠われたらまず手遅れで、人数を集めて山狩りをしても、貪り食われた子供の遺体が森の中に見つかるだけ。
嗅覚が非常に鋭いようで、人の匂いを嗅ぎ付けると姿を隠してしまう。
「だからその氏族の者たちは、酷くこの怪物を恐れていたそうだよ」

そういう保護管の説明を聞いている内、全身に鳥肌が立っていたという。
その後の酒の味は、よく覚えていないそうだ。

アニマルマスク ぞう

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