危険な好奇心 後編(8)

293 ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M sage 2006/06/06(火) 10:37:00 id:UBma/3yTO
タクシー運転手に怪しげな目で見られつつ、山の入口でタクシーを降りた。
俺は三人でよく遊んだ裏山という懐かしさと共に『あの日』の出来事を思い出した。
こんな夜更けに・・又、入ることになるとは・・・
そんな俺の気持ちも知らずに淳は意気揚々と
『さぁ、入ろうぜ!』
と、杖を突きながらズカズカと入っていく。
その後ろをニヤニヤしながら慎が明かりを燈しながら着いて行った。
俺は
『淳、足元、気つけろよ!』
と言い、慎に続いた。

いざ山に入ると、昔と景色が変わっていることに驚いた。
いや、景色が変わったのでは無く、俺達がデカくなったから景色が変わって見えているのか。。?
登山途中、慎が淳をからかうように
『中年女がいたらどーする?俺、お前置いて逃げるけど♪』
等、冗談ばかり言っていた。(俺は逃げるけど)
思いの外、スムーズに進め、30分程で『あの場所』に到達した。

295 ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M sage 2006/06/06(火) 11:27:49 id:UBma/3yTO
『あの場所』
『初めて中年女』と会った場所。。。
俺達は黙り込み、ゆっくりと明かりを燈しながら『あの樹』に近づいた。
『あの日』中年女が呪いの儀式をしていた樹。。。
間近に寄り、明かりを燈した。。
今は何も打ち込まれておらず、普通の大木になっていた。。
しかし、古い『釘痕』は残っていた。所々、穴が開いていた。
恐らく、警察がすべて抜いたのだろう。

しばらく三人で釘痕を眺めていた。
そして慎が『ここらへんでハッピーが死んでたんだよな。。。』と、地面を照らした。
さすがにもう、ハッピーの遺体は無かったが、ハッキリとその場所は覚えている。。
俺はその場に『うまい棒』と『コーラ』を供えた。
そして三人で手を合わせ、次は『タッチ』の元へ。。
『秘密基地跡』へ向かった。

320 ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M sage New! 2006/06/07(水) 09:30:31 id:dXfc2GpkO
秘密基地に向かう途中、淳が
『色々あったけど、やっぱ懐かしいよな。。』
とポツリと言った。
すると慎が
『あぁ。。あの夜、秘密基地に泊まりに来なければ、、、嫌な思い出なんて無かっただろうな。』と言った。
確かに。。
この山で『中年女』に会わなければ、ここは俺達にとっては聖地だったはずだ。


『ここらへんだったよな。。。』
慎が立ち止まった。
『秘密基地跡地』
もう、跡形も無かった。あの日バラバラにされていた材木すら一枚も無かった。
淳が無言でしゃがみ込み、『うまい棒・コーラ』を置き、手を合わせた。
俺と慎も手を合わせた。

しばらく黙祷したのち、慎が言った。
『ハッピーとタッチがいなけりゃ。。。今頃俺達いなかったかもな。』

淳『あぁ。。。』
俺『そうだよな・・・結局、中年女も更正して、、、なんだか、やっと悪夢から解放された感じだな。。』

しばらく沈黙が続いた。

ふと慎が周囲や目の前の池を電灯で照らし、
『この場所、あの頃は俺らだけの秘密の場所だったのに、結構来てる奴いるみたいだな。』と。

慎が燈す場所を見ると、スナック菓子の袋や空き缶が結構落ちていることに気付いた。

323 ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M sage New! 2006/06/07(水) 09:53:04 id:dXfc2GpkO
俺は
『ほんとだな、あの頃はゴミなんて全然無かったもんな。。今の小学生、この場所しってんのかな?』と言った。

淳が続けて
『あの時は俺ら、まじめにゴミは持ち帰ってたもんな。。』と言った。

その時、慎が
『うわっ!何だこれ!』と叫んだ。
俺と淳はその 声に驚き、慎の照らす明かりの先に視線をやった。

一本の木に何やらゴミが張り付いている。
よく見ると無数の菓子袋や空き缶、雑誌が木に釘で打ち付けられていた。
『なんだこれ?!』
慎が明かりを照らしながら近づいていった。
俺と淳も後を着いて行った。

『誰かのイタズラ??』俺はマヂマヂと打ち付けられたゴミを見た。

その時、
『あぁぁぁ、、、これ、、俺の、ゴミぃ、、ぁぁぁぁあ、、』
と淳が震えた声で言いながら硬直した。
『は?!』
俺と慎は聞き直した。
淳は
『あ゛ぁぁぁ、、俺が、病院で捨てた、、、あぁぁ。、。』
といいながら後ずさりした。