危険な好奇心 後編(4)

65 ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M 06/05/13 16:17:23 id:xUdz0Q3M
間違いない!
『中年女』だ!
この先の出入口付近で何かしている!
俺はとっさに身を隠し、『中年女』の様子を伺った。
どうやら俺には気付かず、何かをしているようだ。。。
中腰の態勢で何かをしている。
俺は目を凝らし、しばらく観察を続けた。

何か大きな袋をゴソゴソし、もう一方に小分けしている?
尚も『中年女』はこちらに気付く様子も無く、必死で何かしている。


ひょっとして、病院内の収拾したゴミの分別をしているのか?(俺達の地元はゴミの分別がルールとなっている)

その時、後ろから
『ちょっと、まだいたの?私も遊びじゃないんだからいい加減にして!』と、さっきの看護婦が。
俺はドキッとし、
『あ、いや、帰ります!どーも・・・』
と言い、出入口に目をやると『中年女』はこちらに気付き、ジィーっとこちらを見ていた。

66 ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M 06/05/13 16:18:44 id:xUdz0Q3M
『全く!』看護婦はそう吐き捨て、再び見回りに行った。
いや、それどころでは無い!
『中年女』に見つかってしまった!
どうすればいい?
逃げるべきか?
先程の看護婦に助けを求めるべきか?
俺の頭はグルグル回転し始め、心臓は勢いを増しながら鼓動した。

俺は『中年女』から目を離せずにいると、『中年女』は俺から視線を外し、何事も無かったように再びゴミの分別作業をし始めた。
『え!?』
俺は躊躇した。その想定外の行動に。。俺の頭には
『襲い掛かってくる』
『俺を見続ける』
『俺を見、ニヤける』
と、相手が俺に関わる動向を見せると思っていたからである。
俺はしばらく突っ立ったまま、『中年女』を見ていたが、黙々とゴミの分別をしていて、俺のことなど気にしていないようだった。
『何かの作戦か?』
と疑ったが、俺の脳裏にもう一つの思考が浮かんだ。

【中年女≠清掃おばさやん】?

やはり、似ているだけで別人・・・?!

67 ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M 06/05/13 16:19:56 id:xUdz0Q3M
俺と淳が疑心暗鬼になりすぎていたのか?!やはり『中年女』とは赤の他人の別人なのか?
そう一人で俺が考えている間も、『その女』は黙々と仕事をしている。

俺は意を決して、出入口に歩き出した。すなわち『その女』の近くに。。。

少しずつ近づいてくるが相手は一向にこちらを見る気配が無い。しかし、俺は『その女』から目を離さず歩いた。。

あっという間に何事も無く、俺は『その女』の背後まで到達した。
女は一生懸命ゴミの分別をしている。手にはゴム手袋をハメて大量のゴミを『燃える』『燃えない』『ペットボトル』に分けていた。
その姿を見て、俺は『やはり別人か。。』
と思っていると、
『その女』はバッ!っとこちらを見て、
『大きくなったねぇ〜。』
と俺に話し掛けてきた。
俺は頭が真っ白になった。
【大きくなったねぇ?オオキクナッタネェ?】

この人は俺の過去を知っている??
この人、誰?
この人、『中年女』?
こいつ、やっぱり
『中年女』!!

68 ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M 06/05/13 16:21:12 id:xUdz0Q3M
その女は作業を中断し、ゴム手袋を外しながら俺に近寄ってくる。
その表情はニコニコしていた。
俺はどんな表情をすればいい???
きっと、とてつもなく恐怖に引きつった顔をしていただろう。

女は俺の目前まで歩み寄って来て
『立派になって。。もう幾つになった?高校生か?』
と尋ねてきた。

俺は『この女』の発言の意味が判らなかった。
何なんだ?
俺をコケにしているのか?
恐怖に引きつる俺を馬鹿にしているのか?
何なんだ?
俺の反応を楽しんでいるのか?

俺が黙っていると、
『お友達も大きくなったねぇ、、、淳くん。。可哀相に骨折してるけど。。お兄ちゃんも気付けなあかんよ!』
と言ってきた。

もう、意味が全く解らなかった。数年前、俺達に何をしたのか忘れているのか?俺達に『恐怖のトラウマ』を植え付けた本人の言葉とは思えない。
『女』は尚もニヤニヤしながら
『もう一人いた・・あの子、元気か?色黒の子いたやん?』

!!慎の事だ!
何なんだコイツは!
まるで久しぶりに出会った旧友のように。。
普通じゃない。。
わざとなのか。。?
何か目的があってこんな態度を取っているのか?