霊柩車(2)

740 :怖かったので転載:2001/01/15(月) 16:01
ところがどうでしょう。
いつもはひっそりとしていた車から、何人もの黒い服を着た人達が下りてきて、
門を開けて入ってくるではありませんか。
Kさんはすっかり恐ろしくなってしまいました。
そのうちに、階下でチャイムの鳴る音が聞こえました。
しつこく鳴り続けています。
チャイムは軽いノックの音になり、
しまいにはもの凄い勢いでドアがドンドンドンドンドンドン!と叩かれ始めました。
Kさんはもう生きた心地もしません。
ところがKさんの頭の中に、『もしかして、玄関のドアを閉め忘れてはいないか』という不安が浮かびました。
考えれば考えるほど閉め忘れたような気がします。
Kさんは跳び上がり、ものすごい勢いで階段をかけ下りると、玄関に向かいました。
ところがドアに到達するその瞬間、玄関脇の電話機がけたたましく鳴り始めたのです。
激しくドアを叩く音は続いています。
Kさんの足はピタリととまり動けなくなり、両耳をおさえて、
叫び出したくなる衝動を我慢しながら、勢いよく受話器を取りました。
「もしもし!もしもし!もしもし!」


741 :怖かったので転載:2001/01/15(月) 16:02
『○○さんのお宅ですか』
意外なことに、やわらかい男の人の声でした。
『こちら警察です。
 実は落ち着いて聞いていただきたいんですが、先ほどご両親が交通事故で亡くなられたんです。
 あのう、娘さんですよね?もしもし、もしもし・・・』
Kさんは呆然と立ちすくみました。
不思議なことに、さっきまでやかましく叩かれていたドアは、
何事もなかったかのように、ひっそりと静まり返っていました。
Kさんは考えました。
もしかしてあの霊柩車は、両親を乗せに来たのでしょうか?おばあちゃんを連れに来たのでなく?
そういえば、おばあちゃんはどうなったのだろう?
その時後ろから肩を叩かれ、Kさんが振り返ると、
動けない筈のおばあちゃんが立っていて、Kさんに向かって笑いながらこう言いました。
「お前も乗るんだよ」