おもちゃの消防車(1)

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◇ 心霊ちょっといい話VER.1 ◇

24 :あなたの横にも名無しさんが・・・:2001/02/13(火) 10:07
知っている方も多いかと思いますが、書き込みします。
これは毎日新聞の記者さんが実際に聞き、掲載したお話です。

ある日の雨の降る夜、会社から家路を急いでいたAさんが、田んぼのあぜ道で何かを探している人に気付きました。
「どうしました?」
Aさんが問い掛けると、その男性は消え入りそうな声でこう言いました。
「長男に買ってきた消防車のオモチャが見つからないんです」
「そうですか・・・一緒に探してあげましょう」
と、Aさんも泥がつくのもイヤがらず一緒に探しました。

でも、どんなに探しても全然見つかりません。
二人で泥だらけになりながら、雨の中必死で探しました。
「無いですねぇ・・・」と何気なく男性の横顔を見たAさんは、おかしな感覚を覚えました。
「・・・あれ?この人どっかで見た様な・・・」
でも、そんな気にも留めませんでした。

「無いなぁ・・・困ったなぁ・・・」
そう言う男性を慰め、ほんのちょっと下を向いた時に、男性の気配が無くなりました。
「あれ?」
周りをいくら見渡しても男性の姿は見えません。
「おっかしいなぁ・・・」
不思議と怖さも無く、泥だらけの姿で家に帰りました。

その泥だらけの姿を見た母親から「どうしたの?」と尋ねられたAさんは、今あった事を母親に話しました。
みるみる内に母親の顔色が変わって行きます。
「どうしたん?」
そう言うAさんの前に、母親は古いアルバムを持って来ました。
「その男の人って・・・この人かい?」
Aさんがアルバムを見ると、そこには幼いAさんを抱いたさっきの男性が写っていました。
「あ・・・」
Aさんは言葉を失いました。
母親は、Aさんが小さかった頃他界した父親の話をしてくれました。
おもちゃの消防車を買って帰る途中で、車にはねられる事故で他界した事も・・・。
「あんたが一緒に探してくれて良かった」と母親は号泣したそうです。

以上がそのお話です。
これは全てウソの話です。
毎日新聞の記者もウソだと知って掲載したそうです。
その記者はこの文章をこうくくっています。
『これはウソの話ですが、僕はこのおもちゃの消防車を探す幽霊が大好きです。』


515 :長文スマソ:2001/03/29(木) 00:20
>>24 で紹介されてる消防車のオモチャを探す親父の霊の話だけど、
作家の若一光司氏のエッセイがあるので紹介しておきます。
ネタか否かに過敏になるのがどうなのか、考えさせられる話です。

(以下要約)
若一氏は趣味の会で知り合ったFさんから消防車の話を聞き、これはいい話だと産経新聞夕刊に寄稿する。
ところが、後日Fさんと別居中の妻から若一氏に電話があり、
Fさんの話は嘘であり、Fさんの父が死んだのもそんな昔でないと知らされる。
若一氏は騙されたとの思いからFさんを問いただし、気まずい関係となる。
やがて、趣味の会にFさんが現れることもなくなり・・・
しかし、若一氏は怪談の本質という観点から自分の不明に思い至る。

(以下、原文のまま引用)
そして私は今になってつくづく、「あそこまでFさんを責めんでもよかったのに・・・」と後悔している。
なぜなら、たとえそれがFさんの作り話であったとしても、
私はやっぱり、畑の中でオモチャの消防車を探していたお父さんの幽霊が、大好きだからだ。
それ以上に魅力的な幽霊と、いまだに出会ったことがないからだ。
それはもう、Fさんが実際にその幽霊を見たかどうかという問題とは、まったく無関係なことである。
もしも幽霊が実在するとしても、それが出現することの最大の「社会的意義」は、
まさに「語られること」でしかないのだから。
そして、語られるために現れるのが幽霊だとしたら、
作り話の中で語られた幽霊もまた、実在する幽霊と本質的に同一のものなのだ。
責められるべきは、Fさんではなかった。
「作り話」こそがもっとも豊穣かつ正統な「幽霊生成の場」であることを理解しえなかった、私の方なのである。

若一光司「幽霊たちの『構造と力』」別冊宝島268号

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