村はずれの小屋(3)

887 :5-4:04/11/29 20:15:39 id:v6kaMasJ
次の朝、Cと一緒に玄関を出ると、魔除けの食い物が無くなっていた。
「な?俺の言う通じゃろ?」とCが言う。
その事を親に聞くが、「あれは朝1にしまい込むでな」と答えるだけであった。

そしてソレはしばらくの間続いたが、ドアをノックする音がしなくなると、
「ああ、49日が終わったのだな」と思った。
その村では、49日が過ぎるまで墓を作らなかった。
遺体は火葬か土葬をしておき、49日が来るまでは「魂を遊ばせておく」そうだ。

村のはずれには集合墓?があり、村人はここに埋められ墓が作られる。
しかし、梅の墓は別の場所に作られる事になった。
「御先祖様の墓とキ○ガイの墓を一緒にするのは申し訳ない」という理由だそうだ。
死んでもなお村人として扱われない梅に、Jは少し同情したが、
怒られるのが恐いので、口にする事はしなかったそうだ。


888 :5-5:04/11/29 20:17:05 id:v6kaMasJ
そして、梅の墓は川原に作られた。
墓といっても1、2本の縦長の板で出来た簡易な物で、
さらにその回りには囲いも何も無く、「ただポツンと立っていた」そうだ。
しかも、川のすぐそばに立てられている為、ちょっと強い雨が降ると、増水した川に流されてしまう。
実際梅の墓は、1ヶ月もしない内に流されてしまった。

流されるという事は、人に忘れられてしまう。まさに『水に流す』のである。
流されてしまってはしかたがない。俺達は悪く無い。
そんな『自分勝手な不可抗力』という名の殺人や非道が、その村ではあたりまえに行われていたらしい。

身内がそばに居ないというだけで、人1人が村ぐるみで消されてしまう恐怖。
そして、それをあたりまえと思う大人達に、Jは恐怖した。
「自分も大人達の機嫌を損ねたら、何されるかわからん」と・・・
だから、その村では大人が絶対であり、いわゆる『不良』と呼ばれる子供もいなく、
子供は大人達の従順者であった。

「村落という閉鎖的な場所で、独自的な文化を持つというのは恐ろしい事で、そこでの常識は常に非常識だった。
 あのまま村で大人になったら洗脳されて、あの大人達と同じになっていただろう。
 だからお前は、たくさん友人を作って、色んな人の意見に耳を傾けて、
 常に自分の行動に間違いが無いか疑問を持て」
と、死んだじいちゃんは語ってくれた。