拾った石(3)

400 :381:2005/07/15(金) 13:43:51 id:AfyrYbyu0
A「明日な、○○(Aの弟)の命日やねんな?でやな、何かしらんけど、お前らの夢を見た訳よ。
 で、懐かしくなってというか、まあ後で言うけど、オマエに会わなあかんと思った。
 弟死んだん5年も前の事やから、オマエは忘れてるかも知れんけどな、昔はよう遊んだな。悪さしてw
 あの日な俺、弟死ぬん何となく知っててん。これは後やから言える事かも知れんねんけどな。
 何かな、俺昔から、知ってる人とかの夢を、何日か立て続けに見る事があるねん。
 何か最初は白黒やねんけど、途中からセピア色というか、真っ赤に変わって行くねん。
 その後、その人にあんまり良くない事が起きるような気がするねん。怪我とか、あと、死んだりとか・・・
 で、弟の時も、1週間くらい前からそういう夢見てて(弟の夢)、偶然かも知らんけど、弟の時も真っ赤になってん。
 その後、あいつ死んでもうた。
僕「死ぬんがわかる?んなわけないやん!オマエもうちょっとマトモな嘘付けって!
 言っとくけど、俺のは嘘ちゃうで!」
マ「いや、死期がわかる人っておるらしいで。俺の連れもそんな事言ってた奴おった。
 そいつのオカンもそういう人やった」
A「まあ、おれがそうかどうかは知らんけど、結果そうなってしまったんや」
僕「まあええわ。で?その死ぬんがわかる夢って」
A「そう、昨日見た夢や。いきなり3分の1くらい真っ赤やった。
 正直こんなん初めてやし、どうして良いかもわからんし、とりあえずオマエに会いに来たっちゅうわけや。
 詳しく言えば、何か草原みたいなとこにオマエと弟がいて、その草みたいなゆらゆらした地面が真っ赤やった。
 ちょうどこれくらいかなぁ」
と、膝下位をさした。


404 :381:2005/07/15(金) 13:57:19 id:AfyrYbyu0
A「だいたい赤い夢見る時は、白黒からジワーってゆっくり変わって行くんやけど、
 いきなり赤いのは見た事無いから、びっくりしてん」
僕「俺どないかなるかも知れんってこと?この手かな?」
A「それはわからん。そうかも知れんし、違うもんかも知れん」
僕「死ぬかも知れんという事?」
A「わからんねん。そればっかりは」
僕「でもな、いきなりそんなん言われても、信じられるわけないやん!」

そんなやり取りをしてると、Aが泣きそうな顔で言った。
A「その夢にな、俺もおってん」
僕「俺と弟ちゃうんか?そんなん最初に言わんかったやん」
A「言うたら死ぬんちゃうかと思って、言えんかった」
僕「そうか、俺は死んでもええと、オマエ最悪やな」
A「死ぬとは決まった訳じゃないって、ただの夢やし」
僕「そうやな、ただの夢でギャアギャア言うなよwシャレにならんでほんま」

実は僕はかなり怖かった。ただAの出来の悪い夢を笑うしかなかった。
でも、それは笑えない事だと思い始めた。
今朝見たジーパン!
頭の中がむちゃくちゃになって来た。昨日僕はAと会ったのか?会ってないとすれば、一体誰に会ったのか?
というか、どこに行ってたのか?AではないAと?
携帯の番号も知らない、バーにも来てない、Aの見た赤い夢、膝下が赤く染まる夢、
今朝見た、膝から下がどす黒く濡れていたジーパン。
一気に押し寄せて来て頭が痛くなり、耳鳴りもする。あまり酔っては無かったと思う。
今はもう何も考えられない、無理だ、もう帰ると言うと、Aが送って行くと言い出した。
それを僕は断った。何となく嫌な気分になったから。


414 :381:2005/07/15(金) 14:07:25 id:AfyrYbyu0
Aと僕はバーを出た。Aはまだ何か言いたそうにしていたが、構わずに自転車に乗った。
Aは最後に「気をつけて帰れよ」と言った。
僕は「オマエ、人の事言えへんねんで」と言った。笑うと思ったが、Aは真顔でうなずいた。
僕はあわてて目を逸らした。何か分からんけど嫌な感じだった。

自転車片手運転で家に到着。
到着するなり、誰かに後ろからドンと背中を押された。その直後携帯が鳴った。
後ろを振り返ると誰もいなかった。電話はAだった。
僕「何?どうしたん?」
A『どうしてるかなと思って』
やたら元気な声に、さっきのは嘘だと直感した。